美腸整活コラム

Column
プラセンタのお話
2022.03.02

プラセンタのお話

1ミリ単位の受精卵を3キロに育てるゆりかご

エイジングケアで知られるようになったプラセンタとは胎盤のことです。胎盤は妊娠した女性だけがもつ器官であり、母体と胎児をつないで胎児に成長のための栄養を送り続けます。通常、子宮内部はただの粘膜ですが、妊娠したときだけ胎盤が形成され、子宮内部がフカフカなベッドのようになって着床した受精卵を守り育てます。哺乳類にはすべて、この機能が備わっています。

生命の神秘の源ともいえるプラセンタは、小さな小さな受精卵を3キロ程度の赤ちゃんに育てるゆりかご。そこに含まれる様々な栄養や成長のもととなる物質によって、卵子は人間になっていくのです。

哺乳類の多くは、出産の際に胎児とともに排出された胎盤を母親が食べます。出産によって失った体力を補うため、生まれた我が子に良質な母乳を与えるため、栄養豊富な胎盤を体内に取り入れるのだと考えられています。

保険の適用される医薬品として認可を受ける

胎盤が胎児を育てるのは当たり前のことですが、その仕組みのすべてが解明されたわけではありません。プラセンタは解明されていない神秘に包まれた器官でもあります。

けれど、40年も前から医薬品として認可を受け、治療に使われてきたというのも事実です。保険が適用される(1週間に1アンプルまで)医薬品に認可されるためには、たいへん厳正な研究・調査、そして審査が行われます。プラセンタは、それらをクリアして私たちのカラダに作用すると認められているのです。

インターフェロンをはじめとする、多種多様な成長因子が含まれることから、もともとは肝機能障害の治療に使われていました。ところがプラセンタを使った患者たちの髪や肌、爪などがきれいになった、若返ったといって話題になりました。そんな経験値からエイジングケアの分野でも研究が進むことに。その結果、体調不良の治療という医薬品としてだけでなく、イキイキした若々しさ、潤いや美しさを取り戻したり、キープしたりするサポート役として知られるようになりました。

信頼のおけるプラセンタの見極めが重要

医師の処方のもと、点滴や注射でプラセンタをとりいれる場合は、ヒトの胎盤から抽出されたプラセンタを使用することができます。サプリメントなどで取り入れるときは、ヒト由来のプラセンタは使用できないため、哺乳類の胎盤から抽出したプラセンタが配合されることになります。

ブタやヒツジなど、一般的にサプリメントの原料とされているプラセンタは数種類あります。なかでも優れているとされるのがウマ由来のプラセンタ。ブタ由来のプラセンタと比較すると、アミノ酸含有量が約300倍というデータがあります。また1度の出産にほぼ1頭の子どもを産むことでもわかる通り、ウマの胎盤はヒトの胎盤と非常に近いといわれています。

とはいえ、出産時に排出される胎盤から抽出されるものですから、サプリメントとして摂るなら、信頼できる環境下で出産&排出された原料であることが大切です。獣医の立会いのもと、衛生管理のしっかりした環境で出産したことが保証されるウマのプラセンタが望ましいということになります。

患者さんにイキイキした笑顔を運ぶプラセンタ

私が携わるアンチエイジング医療とは、最高の健康状態を保つ知恵です。老いは誰にでも訪れますが、訪れ方は人それぞれです。正しい生活習慣や適切な栄養補給、良質なケアなどの心がけ次第で、アンチエイジングは実現できます。私が学んだ米国サレーノ・センターの患者さんは、紫外線が多いという予報があればコエンザイムQ10を摂って外出するなど、老化に対抗する生活を実践し、結果を出していました。

プラセンタに関していえば、アンチエイジング医療ではそのサポート力は常識となっています。理屈以前に、とにかく使用した患者さんが喜ぶのです。

もちろん研究による科学的データも世界中から集まってきています。人間の胎児は約10ヵ月で卵子の状態から体重3キロにまで成長します。胎盤によって母体とつながれている間はものすごい速さで成長を続け、生まれ出て胎盤から切り離された後は、成長が緩和されるということです。

産婦人科から集めた胎盤からアミノ酸を取り出して調べると、インターフェロンをはじめとするいろいろな成長因子が含まれていることがわかります。とはいえプラセンタはまだ 謎が多く、調査研究も途中段階であるというのが現状です。それでもすでに世界中で愛用され、日本では40年間、認可された医薬品として肝機能障害や更年期障害の治療に使われています。

私のクリニックでも多くの患者さんがアンチエイジングのサポート役として、定期的なプラセンタ点滴を導入しています。

この記事の執筆者

このコラムの執筆者

上符 正志先生Masashi Uwabu

米国抗加齢医学会専門医。日本抗加齢医学会専門医。九州大学工学部在学中、医師が社会で果たすべき役割にめざめ転身。産業医科大学卒業後、治療に携わるなかでアンチエイング医学と出会い、発症を未然に防ぐ患者本位の医療の可能性を見出す。ニューヨークで行われている最先端治療のプログラムを習得し日本に導入。